習近平Photo:Lintao Zhang/gettyimages

異例の約1年遅れで
開催された三中全会

 7月15~18日、中国共産党の重要会議、三中全会(中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議)が開催された。

 5年に一度の党大会で選出された、中国共産党のトップ約370人(約200人の中央委員、約170人の中央候補委員)による中央委員会の全体会議が年1回以上開催される決まりで、慣例として1期5年のうち7回開催されており、その第3回目が三中全会と呼ばれる(中央委員会全体会議は、開催回数を頭につけて「○中全会」と一般に呼ばれる)。

 三中全会は、中国指導部が中長期的な経済改革方針などを議論・決定する場であり、内外の注目度の高い政治イベントである。過去には、第11期三中全会(1978年)における改革開放路線の導入決定など、中国経済の行方を左右する重要な決断が下されてきた。

 第20期三中全会は、慣例のスケジュールに従うと2023年秋に開催されるとみられていたが、明確な理由が示されることなく、異例の約1年遅れの開催となった。党内人事(2023年に解任となった前外相の秦剛氏、前国防相の李尚福氏の処遇など)や、長期化する不動産不況への対処など経済政策をめぐり、党内の意見がまとまらなかったとの見方がある。

 ただし、三中全会が「異例」となったのは今回だけではない。習近平政権2期目の第19期中央委員会全体会議に関しても、本来であれば国家主席や首相など政府人事を決定する二中全会(2018年1月)で、憲法改正が討議・決定されたため、三中全会(2018年2月)が政府人事を決める場となってしまった。

 その後の四中全会(2019年10月)も、主題は「国家統治システムおよび統治能力の近代化」であり、経済分野への言及はあるものの、従来の三中全会のような詳細な経済改革プランは示されなかった。

 これらを考慮すると、習近平政権のもとで、三中全会の持つ意味合いやその重要性が変容しつつあると推察される。