「職場での苦手な人」とサッと精神的に距離を取る方法があります。
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
苦手な人との付き合い方
職場には本当にいろんな人がいますよね。
中には「ちょっとこの人苦手かも…」なんて思う相手もいるかもしれません。
いつもイライラしていて話しかけづらかったり、職場で大声や大きな音を出して威圧的な人もいます。
でも、仕事だからといって全員と仲良くするのはなかなか難しいものですよね。
そんなとき、どうやって心のバランスを保ちながら、苦手な人と付き合っていけばいいのでしょうか?
今回は、そんなときの「心の距離の置きかた」についてお伝えしたいと思います。
「自分の気持ち」を素直に受け止めよう
誰かを苦手、あるいは恐いと感じたときには、まずその気持ちを客観的に評価することが大切です。
「この人苦手だな」、そう思ってしまう自分の気持ちを認めてあげましょう。
「仕事だから」と意識しすぎると、自分が悪いような錯覚に陥ってしまうことがあります。
自分がその人の何に引っかかっているのか、ゆっくり考えてみると、意外と自分だけでなく、周りのみんなも同じように困っているかもしれません。
そう考えると、あなただけの問題ではないと気づけるようになるでしょう。
相手を「無理に変えよう」としない
人間はそう簡単に変わるものではありません。
とくに余り好ましいと思っていない人に、変わってほしいと思っていてもなかなか受け入れがたいものがあります。
だから、「いつかわかってくれるはず」と相手を変えようとするよりも、「あの人はああいう人なんだな」と受け入れ、受け流す気持ちも大切です。
相手は相手、自分は自分と意識するのに慣れると、相手の言動にいちいち反応せず、もう少しだけ気持ちも一緒に流せるようになるかもしれません。
物理的に距離をとる
できる範囲で、相手との距離を少し取ってみましょう。
人間は気にしないようにしていても、視界に嫌な人が入ってしまうとついつい意識してしまうものです。
そんなときこそ、物理的に距離を取るようにすることも有効です。
同じチームでも、席を少し離れてみたり、休憩時間をずらしてみたりと、物理的な距離があると、心の距離も取りやすくなります。
とにかく間に距離があって、意識することが減るだけでも効果的な場合があります。
なので、仕事を続けていくためにも一度、同僚や上司の方などに相談をしてみてもよいでしょう。
コミュニケーションはシンプルに
苦手な人との会話はついつい複雑に考えてしまうもの、シンプルに必要なことだけにしてみましょう。
あくまで仕事は仕事と割り切ることができたのなら、かかわる時間も少しは減り、感情面での負担も減らすことができます。
簡単な挨拶や仕事に必要な情報交換を行い、雑談やプライベートな話題は避けることで、物理的、精神的な距離を保つことができるかもしれません。
でも、職場のコミュニケーションは大切にする必要があります。
職場に苦手な人がいるように、きっと気の合う人、もう少し話しやすい人はいると思います。
そういった同僚や上司の人との時間は大切にして、楽しいコミュニケーションを取ることを意識していきましょう。
楽しい時間が増えると、職場に苦手な人がいても気にならなくなるかもしれないし、職場の中で孤立することもなくなります。
周りとコミュニケーションを取るうちに、職場のなかであなたの味方をしてくれる人も増えていくかもしれません。
プロフェッショナルについても意識しよう
個人的な感情よりも、仕事をスムーズに進めることを意識してみると、働くうえでの気持ちの負担が減ってくれるかもしれません。
あなたが何らかの仕事に従事している以上、やらなければならない仕事の役割があると思います。
そんな役割だけを果たすようにあくまで仕事として、プロフェッショナルな態度を意識することで、余計な感情を持ち込まないぶん、相手との関係も少しずつ変わってくるかもしれません。
「仕事のパフォーマンスを上げるために」と考えられるようになると、仕事のためと割り切って働けるかもしれませんし、距離を取るうえでの気持ちの切り替えにつながるかもしれません。
上手に距離を取っていきましょう
人間はもともと臆病で、嫌なことからはすぐに逃げたくなる生き物です。
そんな本能がある以上、職場で苦手だと感じる人がいたら、どうしてもストレスを感じて離れたくなってしまいますよね。
でも、自分のキャリアや家庭を守るためにもどうしても辞められない、嫌だけど続けなければならないようなことだってあると思います。
そんなときこそ、ここでのアドバイスを思い出して上手に距離を取ることはとても大切です。
無理をせず、自分のペースで心のバランスを保ちながら、仕事を乗り越えていきましょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。