ユニクロ社内文書に社長コメント
柳井正の逆鱗に触れ裁判が始まった

 ユニクロが裁判を起こすということは、つまり柳井正の判断なのだ。

 私が手に入れた当時のユニクロの社内文書には、提訴に関する柳井正の言葉が書いてあった。

「文芸春秋に対して訴訟を行った。『ユニクロ帝国の光と影』という書籍と、この本の前提になった週刊文春の記事について、名誉毀損を理由として、東京地裁に提訴している。

『潜入取材、全手法』書影横田増生著『潜入取材、全手法』(角川新書)

 この書籍は、ユニクロが収益を上げ、成長しているのは、社員やお取引先の犠牲の上に成り立っているという誤った印象を与えるような内容となっている。高収益を上げ、急成長を遂げているユニクロは、低価格と高品質を両立した商品を実現するために、店舗の社員やお取引先の労働者から搾取している、という内容が書籍に書かれている。

 しかし、我々はそのような恥ずべき行為は決してしておらず、万が一、不適切な労働実態などがあれば、真摯にそれを正していく企業である。社員の皆さんには、自分達の会社に誇りを持ち、自分達の仕事の正しさに自信を持って頂きたいと思っている」

 柳井社長、ご立腹である。その逆鱗に触れたことで、裁判がはじまった。