富裕層のお悩み(4)
不動産の「共有」が難しすぎる!

 そして、最後に不動産の問題です。

 資産家であればあるほど、自宅に加えて収益不動産や別荘など、複数の不動産を保有しています。海外に不動産を所有しているケースもあるでしょう。

 特にトラブルになりやすいのが、不動産を「共有」している場合です。

 例えば、都心の一等地の商業地などに収益不動産(ビルなど)を保有している場合、その希少性と収益性ゆえ、親族間で共有になっているケースが多いのです。さらに面倒なのは、個人間だけでなく、「資産管理会社とその兄弟個人での共有」になっているようなケース。そのような状態になると確かに高収益ではあるものの、あまり仲の良くない兄弟の場合、迅速な不動産経営ができません。

 共有しているということは、修繕する、建て替える、売るなどの意思決定を共有持ち分による多数決や、共有者同士の話し合いによる合意によって決めなければならないということです。

 よって、不動産を持つ富裕層は自分の死後、持ち主が複数になることで思うような不動産経営ができなくなるのを避けるため、生前に不動産が単独所有になるように考えておく必要があるのです。

 自宅、収益不動産、別荘とあったところで、「私は別荘いらない」「私は収益不動産が欲しい」「不動産にひもづく借金はいらない」など子どもはいろいろなことを言ってきますので、きちんと事前に考えておくことが必要になるでしょう。また、すでに共有になっている場合は、等価交換や、現物出資などの対策をとることでなるべく単独所有にすることが重要です。

適切な対策を講じなければトラブルに…
解決には時間とお金がかかる

 富裕層であることは、一見すると恵まれた状況に見えるかもしれませんが、実際にはさまざまな問題を抱えています。特に、相続争いや高税率の税金問題、海外資産に関する問題は、適切な対策を講じなければ大きなトラブルに発展する可能性がありますし、一度絡まった糸を解きほぐすには長い時間と、お金がかかります。

 個人的には金額が大きくなればなるほど問題の難度も上がり、深刻度も増すと考えています。必ずしも「お隣さん、お金持ちでいいですね~」というわけではないのです。