二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!#4Photo:iQoncept/gettyimages

不透明感の強い相場において、日本株の下支え要因となっているのが、過去最高水準の「自社株買い」である。そこで特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の#4では、割安度、株価の出遅れ感、財務健全性など複数のスクリーニングで選抜した「自社株買いが期待できる33銘柄」を公開する。早ければ中間決算時にも自社株買いの発表が期待できるだけに、ポートフォリオの守備力を高める銘柄群としてチェックしてほしい。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

自社株買いを後押しする
2つの要因とは?

 実質賃金の増加など明るい材料もある一方、「円高」「米国景気の失速」「もしトラ」など不安材料も山積している株式市場。8月5日の急落後も日本株の値動きは激しく、乱高下に翻弄されている個人投資家も多いだろう。

 不透明感のある相場を乗り切る一つのアイデアが、「攻め」の銘柄だけでなく、株価の下値が堅い「守備力が強い銘柄」の組み入れだ。中でも注目したいのが「自社株買い」など株主還元の強化が期待できる銘柄群である。

 二つの要因が企業の自社株買いを後押しする。

 一つ目の要因は東京証券取引所による「改善要請」だ。2023年に東京証券取引所が「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」や「ROE(自己資本利益率)8%未満」など具体的数値を挙げながら、「資本コストや株価を意識した経営」を要請して以降、日本企業の自社株買いが急激に増えている。特に今期(25年3月期)は過去最高だった24年3月期を大きく上回る水準で推移している。

 二つ目の要因は「タイミング」である。智剣・Oskarグループの大川智宏主席ストラテジストは「利益の増加に伴い多くの企業で自己資本が積み上がっている中、全体相場の下落によりPBR1倍割れ企業が増加。企業の自社株買い意欲が高まっている。早ければ10月下旬から始まる中間決算発表時にも自社株買いブームが起こる可能性がある」と指摘する。

 自社株買いを実施すると、自己資本が減少することで資本効率が改善してROEやEPS(1株当たり利益)が向上する。その結果、市場評価が高まり、株価の上昇につながりやすい。

「上値は重いものの、自社株買いが貢献することで、日本株の下値は堅い。ある意味では世界最強の防御力を持っている可能性がある」(大川氏)

 次ページでは、「PBR0.8倍未満」「財務体質が良好」「株価の出遅れ感」など複数の条件で選抜した「これから自社株買いが期待できる33銘柄」をリストアップ。すでに株価が割安な銘柄群なので、下値不安も小さい。ぜひ銘柄選びの参考にしてほしい。