そして実は多くの日本人も、「なぜ日本が変われないのか」ということについて、疑問に感じ答えを模索しているのではないか。それでは、どうすればよいのか。これまで一定の時間をかけても変われなかった以上、あらゆる分野で荒療治を行うしかない。

 たとえば、毎年受け入れなくてはならない移民数の下限を決め、各大学、企業に公的助成を行ってでも、非日本人を一定割合受け入れることを義務化づける。女性については、採用のみならず、昇進、幹部登用においても女性の占めるべき割合を法的に決め、この基準を満たさない場合、法人税率上乗せといったペナルティを課す。

実は重要な「内部告発者」の存在
求められる無茶な変化を起こす気概

 一方で、2010年に英国で成立したEquality Billのような包括的な反差別法を制定し、罰則規定を設けることも必要である。

 さらに、日本の報道機関の姿勢にも前進が期待される。テレビ、ラジオ、新聞のいずれをとっても英国の報道機関は、日本の同業者に比べはるかに調査取材に力を入れる。そして、差別の問題についても具体的な事象とその背景に横たわる問題意識について取り上げ、厳しく告発する。

 そのような報道機関によるキャンペーンが議論を深化させ、政治家、政府も対応を余儀なくされる。また、内部告発者(whistle blower)の存在も重要である。自らの属する組織を告発することは、日本的価値観からは見下げたことと見られる。

 もちろん、告発の全てが客観的正義感からなされるわけではない。そうであっても告発の存在意義を認め、その上で、告発内容の当否を冷静に見極めるといった対応が必要である。

 極めて乱暴な意見であるが、このくらい乱暴なことをしないと日本は変われない。これまで日本を変えてきたのは、外からの乱暴な変化の襲来であった。今は、内部から少し無茶な変化を起こす気概が求められている。

(水鳥真美・英国セインズベリー日本藝術研究所統括役所長)

水鳥真美(みずとり・まみ)
1983年一橋大学法学部卒業。同年、外務省に入省し、在英国大使館公使、会計課長を経て、2010年辞職。2011年より英国ノリッチに所在し、欧州における日本の芸術、文化普及を使命とするセインズベリー日本藝術研究所統括役所長に就任。また、難民を助ける会理事、大和日英基金執行理事を務めている。