産前産後ヘルパーが来ても準備要らず!
仕組み化は「人の手」を借りやすくする

「捨てる」に待った!本気で片づけたい人が最初にやるべき「家のゾーニング」術とは自身の子育て経験を活かして、片付けの相談に乗る著者の澁川真希氏。仙台在住時の2011年に東日本大震災で被災した経験から、生活者と片づけのプロとしての視点で家庭で取り入れやすい防災・減災の備えも伝える活動をしている。

 長男がいるため里帰り出産をせず、当時暮らしていた仙台で出産することにしました。

 産後はヘルパーさんや両家の母にサポートに来てもらうことを決めていたので、これまでの「自分だけが家の中のことを分かればいい状態」は通用しません。

 そうなると、自分以外の人にも「どこに何が入っているか」が分かるように、キッチン周りを中心に整理収納を改める必要が出てきます。これに対応すべく、物の定位置を決め、ラベリングを行いました。

 その結果、何人かのヘルパーさんが担当してくれましたが、毎回、どこに何があるか聞かれることはほとんどありませんでした。やってほしいことをお願いするだけでよく、産後の体を休める事ができたのです。

 このように整理収納の仕組みが出来ると、ヘルパーさんや家事代行サービスに家事を外注するハードルも下がり、物理的、心理的に人の手を借りやすくなります。

産後の仕事開始、子どもの成長……
生活が変われば仕組み化も「進化」

 出産から一年後、私は本格的に仕事を始めました。仕事と家庭を両立すべく、ライフスタイルの変化に対応しながら、数年かけて家の中の仕組み化をこつこつと進めていきました。

 例えば、子どもたちが幼稚園に通い始めるころには、衣類の場所を子どもの手の届く場所に移動し、身支度コーナーを整えます。そうすることで子どもたちは自分で着替えができるようになり、持ち物を自分で準備するようになりました。

 子どもの準備を手伝う時間が空いたので、私は仕事の準備や自分の身支度に時間を掛けられるようになり、朝の時間の効率が良くなりました。

 その後も子どもたちの成長に合わせて物の置き場所を変えたり、収納する物を入れ替えたり、収納量を調節したり……。「その時必要な物」がすぐに手に取れるよう、効率を意識することで、他のことに費やすことができる「時間」を作っていきました。

 二人の子どもたちは今や、大学生でそれぞれ忙しくしていますが、帰ってくると洗濯物を取り込んで、時間があれば動画を見ながら畳んでくれることも。他にも自分で簡単な食事を作り、食べた後は後片付けをしてくれるようになっています。そのおかげで私が数日、家を留守にしても部屋は荒れる事なく、安心していられます。

 仕組み化は一度作ったら終わりでなく、子どもの成長やライフスタイルの変化に合わせて進化させていく必要があります。習い事や塾があれば、それに合わせて使うモノが増えていきますし、それぞれの使用頻度も変わります。

 幼稚園入園や高校入学でお弁当作りが始まれば、キッチンの出し入れしやすい場所にはお弁当用品を収納するようになるでしょう。使用頻度が高くなるからです。

 物事の優先順位が変わってくるので、それに合わせて収納場所や収納方法も変えていきましょう。単に収納用品を買って、引き出しに入れたら終わりではなく、工夫して自分や使う人に合った方法に進化させることで、「出来ること」が増えていきます。

 仕組みづくりの最初は大変かもしれません。しかし、「早く手に入れたほうが勝ち!」です。ずっと効果を感じられ、家族の自立を早くから促すことができると実感しています。