「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
親が処方された薬を飲んでいない
「お薬、飲んでないでしょ。ダメじゃない」。服用すべき薬を飲まずに放置している親を注意する言葉です。
こういった場合「なぜ、薬を飲みたがらないのか」を知り、行動の背景を理解することが大切です。よくあるのは、薬が多すぎて負担になっているケースです。処方される薬が多すぎると、飲むのが億劫になってしまうのです。
「血圧が高いのね。じゃあ血圧の薬ね。それと身体の負担を緩和するための中和薬ね」といった具合に、積み上げ式に薬を処方する医師は少なくありません。
なぜなら、処方する薬の点数や診察の頻度を増やすほど医師は儲かるからです。「医療経済優先」であるがゆえの弊害です。
ある高齢者の女性は、12種類もの薬を毎日服用する「多剤服用」によって、寝たきりになるまで追いやられたそうです。薬の服用をやめたら回復したそうなので恐ろしいものです。
とはいえ、素人判断で「薬を減らそう」と促すのは絶対にNGです。減らしてもいい薬がどれで、服用し続けなければ生命にかかわる薬がどれなのかは、専門知識がなければ判断できません。
こういった場合は「一度、別の先生に相談してみない?」と聞きましょう。「セカンドオピニオン」を求めて、負担を最小限にできる解決策を探ってください。
皆さんの「気づき」は親の健康を守る大事なセンサーです。その違和感を大事しながら、伝え方を少しだけ変えて良好な親子関係を築いていきましょう。