トップ企業に共通する
「行動指針」の存在

 管理職が評価する企業ランキングの1位はアマゾン ウェブ サービス ジャパン、2位は日本マイクロソフト、3位は電通、4位はセールスフォース・ジャパン、5位は三菱商事だった。外資系大手や総合商社などが上位に来ている。

 一般的に、管理職への昇進を望まない理由として、「給与が割に合わない」という意見が多い。これは、管理職になると残業手当が支給されない企業が多く、責任や業務時間が増えても給与に反映されず、「タイムパフォーマンス」(時間対効果)が悪化することへの不満である。

 一方で、今回の調査で管理職として働く社員が自社を「おすすめできる」と評価した企業においては、報酬や給与に対する納得感が高いことが特徴であった。上位20社の「待遇面の満足度」スコアの平均は5点満点中4.08点と非常に高く、具体的な給与制度や賞与に関するクチコミからも、その満足度の高さが確認できる。

 それでは、管理職が評価する企業にはどのような特徴があるのか。

 1位のアマゾン ウェブ サービス ジャパンと2位の日本マイクロソフトは、いずれも世界的に有名な企業で、日本国内でも多くの従業員を抱える大企業だ。

 以下の両社のクチコミ(原文ママ)から共通して見られたのは、組織に深く浸透した「行動指針」の存在だった。

「Amazon共通のLeadership Principlesに沿った考え方、行動が奨励されている。採用時にもLeadership Principlesに沿った行動のエピソードを確認するので、社員個々の基本的な行動原則が揃っているのが特徴。Customer ObsessionやOwnershipといった行動原則を共有しているため、原理原則の部分で考え方が大きく異なることによるフリクションのようなことはほとんど起こらないし、何か問題があったときにRoleや部門関係なく協力し合って問題解決に向かうことが自然にできている」(マネージャー、男性、アマゾン ウェブ サービス ジャパン)

「本当に大きな企業なので、環境も働き方も組織やチームによって大きく異なりますが、特に印象的なのは会社全体で『他人の成果にいかにポジティブな影響を与えているのか』『他人の成果を使っていかにどうビルドアップしていったのか』がパフォーマンス評価のポイントになっている点です。それも相まって、『協力』が能力の一つとして重要視されています。本来個人プレイヤーとしての能力の高さを持っている方も多い上、(役割で求められている以上に)周りのサポートやコーチングが出来る方が多い気がします」(ビジネスマネージャー、女性、日本マイクロソフト)

 コミュニケーションや課題解決において、役職に関係なく共通の視点で議論できることや、困難に直面した際に立ち戻れる指針があることは、管理職だけでなく組織全体の運営において大きな助けとなっていることがわかる。

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