自動車部品大手の「マレリグループ」といえば、株主である米大手投資ファンドのKKRとメインバンクのみずほ銀行が強力なタッグを組んで経営再建を支援しているというのが一般的な認識だ。ところが、みずほフィナンシャル系列のリース会社が債権売却で撤退。額面上の融資残高もみずほ銀行はトップではなく、「みずほが銀行団をコントロールできる状態ではなくなった」との声も上がる。マレリが再び経営危機に陥るようなことがあれば、協調支援体制に影響が生じる可能性もある。(東京経済東京本部長 井出豪彦)
みずほリースが
貸出債権を売却
自動車部品大手の「マレリグループ」といえば、株主である米大手投資ファンドのKKRとメインバンクのみずほ銀行が強力なタッグを組んで経営再建を支援しているというのが一般的な認識だ。ところが、業績が思うように回復しないなか、最近ではみずほグループの支援態勢について懐疑的な見方を示す向きもある。というのも、系列の「みずほリース」が貸出債権を不良債権買い取り会社に売却して撤退したからだ。
マレリグループの持ち株会社で資金調達窓口でもある「マレリホールディングス」(さいたま市北区)の東京地裁での民事再生手続き(簡易再生)が終結したのは2022年8月だった。その直後から準主力行だった三井住友銀行、三菱UFJ銀行、三井住友信託銀行が相次ぎ債権譲渡して撤退したのはすでに報じられている。
事情通によれば、今年に入って台湾の2行(兆豊國際商業銀行、第一商業銀行)も撤退した。また、中国の3行(中国建設銀行、交通銀行、中国銀行〈Bank of China〉)もこのほど撤退を決め、近く債権譲渡するという。中国3行といえば、マレリHDが当初目指した「事業再生ADR手続き」に反対して法的整理に追い込んだ因縁がある。ADRは私的整理の一種のため、成立には対象債権者26社(当時)すべての同意が必要だった。