インテルが今ほど割安だったことはない。だからといって、この米老舗半導体メーカーの魅力が合併・買収(M&A)で増すわけではない。
かつては先端半導体の設計・製造で世界を圧倒していたインテルだが、問題が山積する中で株価は年初から急落している。8月上旬に発表した4-6月期(第2四半期)決算は散々な内容で、時価総額は2012年以来初めて1000億ドル(約14兆4000億円)を下回った。また、ファクトセットのデータによると、株価は1株当たり純資産を少なくとも40年ぶりに下回った。
株価がこれほど大幅に下落すれば、安値での取引をにらんだ潜在的な買い手を引き寄せるのは当然といえる。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は20日、米半導体大手クアルコムがインテルに買収を打診したと報じた。買収価格などの条件は明らかにされなかった。この取引は小魚がクジラを飲み込む構図とはいえない。クアルコムの今後12カ月間の予想売上高はインテルが生み出すと見込まれる売上高の4分の3以上に相当する。