「判断の歪み」によって
歪んだ幸せを求めてしまった
甥っ子に犬を助けに行かせた叔母は、甥っ子の命の危険を考える以上に、愛犬と一緒にいたいという自分の気持ちを優先させてしまったのです。ただ、後になって冷静に考えれば違った判断を下していたかもしれませんし、甥っ子を死なせてしまったことに大きな後悔を感じているかもしれません。
我々は幸せになるために、人生において数多くの判断を下していかねばなりません。
しかし、その判断を誤ってしまうと、他者をも巻き込んでかえって幸せから遠ざかってしまうこともあります。これが「判断の歪み」なのです。
冷静な判断をするための時間がいつもあるとは限りません。瞬時に適切な判断が求められることも多々あるでしょう。愛犬と一緒にいることが叔母の幸せだとしたら、この甥っ子を死なせたケースは、まさに叔母の瞬時の「判断の歪み」のもと、歪んだ幸せを求めてしまったがゆえに起こったのです。
また、このケースには別の観点もあります。どのような判断にも、その人のそれまでの経験や生き方、価値観などが影響してきます。つまり日頃からどう感じ考えながら生活しているかが影響するのです。
「自己愛の歪み」もまた
他人を不幸に陥れてしまう
2024年1月に羽田空港で海上保安庁機との衝突事故によって起きた日本航空機の火災では、キャビンアテンダントの指示に従って乗客が冷静に行動した結果、全員の命が助かりました。