「なぜこんな意地悪をするのか?」と思ってしまう理不尽な振る舞いをする人の心理の根幹には、「幸せになりたい」という気持ちがある。ただ、それが「歪んだ幸せ」であるのだとか。人々が求めてしまう、歪んだ幸せにつながる5つの要素とは。本稿は、宮口幸治『歪んだ幸せを求める人たち:ケーキの切れない非行少年たち3』(新潮社)の一部を抜粋・編集したものです。
自分に意地悪する人の動機を
理解することで寛容になれる
あの人はどうしてそんなに意地悪なことをしてくるのだろう。いつも陰で人の悪口や愚痴を言っている。すぐにマウントを取りたがる。自分が正しいと思って人の意見に耳を貸さない。ちょっとしたことでも怒る。態度が大きい。本当に性格が悪い……。そう感じる人たちが、みなさんの周りにいないでしょうか。
このような人が近くにいたら付き合いたくないでしょうし、もし同じ学校や職場にいて毎日顔を合わせないといけなかったり、最悪上司だったりしたら、毎日が憂鬱になることは想像に難くありません。それをきっかけに鬱病になる人だっているでしょう。
近年ではSNSを使って匿名で容易にコメントを投稿できますから、本人の目の前では言えないことを、陰口のような書き込みで全世界にばらまいている人もいます。そんな卑怯なやり方に憤りを感じている方もおられるでしょう。
でもその人たちは、どうしてそんな意地悪なことをするのでしょうか。育った家庭環境がよくなかったのか、何かへの劣等感をもっているのか、地位や権威が欲しいのか、お金が欲しいのか、愛情が欲しいのか……と、理不尽な振る舞いの理由を考えた経験のある方もおられるかも知れません。