「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
「日常のちょっとしたこと」をお願いしたい
「回覧板はお隣に回しておいてね」。歳をとると、なにをするにも億劫になります。そのため、回覧板を回す、シャンプーを詰め替える、トイレットペーパーを買い足すといった日常の行為がおろそかになりがちです。そんな親を注意するひと言が今回の言葉です。
しかし、このようなケースでストレートに指示を出しても、親は言う通りに行動してくれません。なぜなら、このメッセージは「私は忙しい→親は家にいる→やることもない→ひまそう→手伝え」という自分メッセージであり、反発心を誘発してしまうからです。親からすれば「うるさいな。わかっているよ!」でしょう。
こんなときは「全部、私がやる!」と宣言するのが1つの方法です。とはいえ、全部やらなくていいです。ここでのポイントは「子どもは、いつまでたっても子ども」だと思っている親の心理を逆手に取ることです。
たとえば、子どもが「全部やる!」と宣言すれば「全部やってくれるんだ。ありがとう」と親も最初は思います。
しかし、結果的にそれが完璧でなければ「私がやらなくちゃダメね」と思い直します。改善されない状況を見て、自分が対応できることに気づき、自発的な行動へとつながるのです。ときには「頼りない子ども」を演じてみましょう。