「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

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病院ぎらいの高齢者は少なくない

「病院に行っていないの? ちゃんと行かないとダメじゃない」。病院が嫌いな親に苦言を呈する言葉です。医師アレルギーの高齢者は意外と多いです。

 それは多くの高齢者が、医師のアドバイスを「上から目線」だと感じてしまうからです。「ちゃんと薬を飲んでください」「規則正しい生活を送りましょう」。こんなふうに指示されるのがイヤなのです。

 また、一部の医師に年寄り扱いをされて、まともに取り合ってくれない経験も病院ぎらいを誘発する原因のようです。

 こんなときには「一緒に病院に行こう。私も先生から話を聞かせてもらうね」という言葉をかけましょう。この言葉は「そこまで言うなら行こうかな」と、前向きな気持ちが湧き上がる言葉です。

 一方で「病院ぐらい1人で行ける。そこまでの配慮は不要だよ」という遠慮の気持ちが湧く高齢者もいます。

 いずれにせよ、大事なのは「行きなよ」という指示・命令ではなく「一緒に行くよ」と誘うことで「あなたの応援団です」というメッセージを送ることです。

 子どもの愛ある声かけは、重たい足を動かすきっかけになります。高齢の親とは、いつまで一緒にいられるかわかりません。だからこそ、ときには行動で愛を伝えてみていただけるとうれしいです。