直近の9年間で出生数3割減
「本気度」足りない少子化対策
自民党総裁選の議論を聞いていて強い危機感を持たざるを得なかった。候補者9人の少子化対策への言及はほとんどなく、問題を解決しようという「本気度」が感じられなかったからだ。
岸田政権の児童手当拡充などを柱にした「異次元の少子化対策(子ども未来戦略)」を含めて、これまでもさまざまな対策が打ち出されてきたが、少子化は一向に止まらない。
2023年の合計特殊出生率は1.20と過去最低となり、出生数も戦後最低だ。24年は出生数が70万人を割る可能性があるといわれている。15年には約100万人だったから、この9年間だけで3割減ということになる。
このままのペースで少子化が進むと、日本の社会構造も成り立たなくなり、経済も疲弊して、多くの日本人が生活水準低下を余儀なくされるのではと心配だ。
少し前に、著名な経営者が「少数精鋭で仕事をするということを覚えないと日本人は滅びるのじゃないですか」と発言したことが話題になったが、政治の問題意識の弱さは日本を本当に衰退に向かわせかねない。
出生数をどのように回復させるのか。盲点になっているのは婚姻数の減少に対する対策だ。