子どもが成長するにつれて、親子は大人どうしの関係になっていく。子どもが仕事に熱中して成功すれば、親として喜ぶべきところだが、「子どもは仕事に夢中で自分はないがしろにされている」と思い込む。子どもに交際相手ができると、「彼女や彼氏を優先に考えて親のことなどどうでもいいと思っている」と、歪んだ心理が芽生えてくる。

「子どもは年に一度は帰省するので、急な用事以外で連絡しないでほしい、と言っても、親はそれを許さないのです。例えば、毎日LINEでメッセージを送りつけても、子どもは既読スルー、またはスタンプ1個しか返答しないのは許せない。『どうして真っ先に返信しないの!』と、怒り狂う」

「あるいは『もしかしたら病気で倒れて返信が遅れているのかもしれない』と妄想して、大家さんに連絡をして、勝手に鍵を借りて子どもの部屋に入るケースもあります。職場に連絡したり、押しかけたりして『うちの子は会社に出社していますか?』と尋ねるケースは珍しくありません」

 さらに子どもが選んだパートナーについて、住んでいる地域や職業、出身大学、相手の親の職業にもケチをつけて破談に追い込もうとする。

 G夫さんも付き合っている彼女を家に連れてくると、母親が彼女の勤務先や出身大学、親の職業などを根掘り葉掘り聞いてきた。彼女も何かを察知したのかもしれない。その後すぐに別れてしまった。