「病的なまでの子への執着。その背景には母親と父親の夫婦関係がうまくいっていないことが多いですね。毒親にあたる母親の世代はまだ専業主婦が多く、世間体や収入を気にして夫と離婚をしたくてもできない。特段の関心事がないので、子に依存しやすいといった事情があります」

「子どものもとに押しかける理由を『連絡がないから心配した』とか『私は子どものためを思って一生懸命』と、言いますが、それは子どものためを思って心配しているのではなく、自分の不安を解消させたいための行動に過ぎません。すべてにおいて『自分の気持ち』が優先で子どもの立場など一切考えないのです」

「一方の父親はどうなのかと言うと、自分の妻が子どもに執着して迷惑かけているのを見て見ぬふりをして、子どもを助けようとはしません。むしろ関わると大変なことになるので傍観していたり、夫婦一緒になって子どもに暴言を吐いたりする父親もいます」

 子どもは就職などを機に親元を離れて、逃げたとしても、毒親は容赦なく距離をつめてくる。「自分はもう親とかかわりたくない、できるだけ距離を置いてほしい」と、はっきり言えば済むのではないかと思うだろうが、長い間、親から虐待を受けている子どもにとって、親に離れたいという気持ちを伝えることは、ものすごく勇気がいる行動だと吉田さんは言う。