ブラックも横行する中…
インターンでの経験は意味があるのか?

 働く人にとって良い社会になりつつある、と書いた直後で何だが、最近「ブラックインターン」なるものが横行しているという。インターンとは名ばかりで、実際は長期間、学生を低賃金で働かせる。例えば、住宅設備の訪問営業やオンラインセミナー教材の販売などで該当するケースがあるそうだ。

 学生をタダ働きさせる例では、「ブラックバイト」なるワードもあり、それと似ている。いずれにしても、ブラック企業は淘汰(とうた)されていく運命にある。また、大半の企業はインターンを真面目に受け入れ、入社を志してくれるように丁寧に接しているに違いない。

 今どきの就活生にとってインターンは当たり前らしく、5~8割もの就活生が経験するという。「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)にできて就活で有利になるとか。ただ、インターンの大半が半日程度で、会社説明会と何が違うのか、私には分からないものの、会社の実際の仕事と触れ合う機会が少しでもあることは無益ではないだろう。

 一つ、社会人の先輩として伝えたいのが、会社員にとって最悪なミスマッチとは、「思っていた仕事と違う」ことではない。そんなことは、ほぼ全ての会社員が思うことだ。「思い描いていた通りの仕事だった!」と歓喜する人なんてほとんどいない。

 思った通りの仕事ではなくても、社内の雰囲気に包まれ「とはいえ、ちょっとやってみようか」と思い、やっているうちに「自分のスキルになるかもしれない」と考えるようになる。つまり結局、職場の人間関係が大事だ。

 仕事は思ったものと違うけれど、人間関係は良好で、楽しく働けている――このような状況で、若手が会社を嫌になって辞めるなんてレアケースだろう。だから、インターンで「仕事の中身」はほとんど理解できないと考えたほうがいい。それでも、インターンを経験することで、社内の雰囲気を感じることには意味があると思う。