箱根は温泉付きのマンションが多く、ペットが楽しめる場所もいくつかあり、夏も涼しい有力な候補地ではありました。しかし、リゾートマンションがあるのは箱根湯本駅から比較的遠い山の上のエリアで、駅からのアクセスが悪いという問題がありました。また箱根は、冬に雪が頻繁に降り夏は豪雨や濃霧が多く、山に登る道が通行止めになることもしばしばあり、東京との頻繁な往来には不向きだという結論にいたりました。
続いて検討したのが湯河原です。妻も私も湯河原の温泉の質が大好きで小田原、真鶴の漁港で取れる新鮮な魚介を楽しめるおいしいお店もたくさんあります。東京からのアクセスも良く、電車は東海道線が利用でき、車でも山道も通らず行けるため便利です。そして冬でも温暖な気候は二拠点生活を、1年を通じて楽しめる場所であり有力な候補地でした。
しかし、私たちが希望していた駅近で築年数の浅い温泉付き物件は少なく、理想の部屋となかなか巡り合うことができませんでした。
3カ所の中では、当初からの私たちの大本命は熱海でした。
バブル崩壊前は
新婚旅行や社員旅行の名所
熱海の観光の歴史を振り返ってみると、観光需要のピークは高度経済成長時代の1960年代半ばで当時、新婚旅行や社員旅行の名所として年間500万人以上が宿泊していました。しかし、バブル経済崩壊の1991年以降、観光客数は急激に減少し、06年には熱海市が「財政危機宣言」を発出。11年には宿泊者数がピーク時の半分以下の246万人にまで落ち込みました。
バブル崩壊によって多くの企業の保養施設が閉鎖され、社員旅行も激減しました。旅行市場のトレンドも団体から個人に変化していくなかで、宴会型宿泊から体験型宿泊への需要の変化が街の凋落の大きな要因でした。多くの飲食店や観光客向けのお店が次々と閉店し、当時のことを熱海の人に聞くと、街は本当に活気を失い、まるでゴーストタウンのようだったそうです。