抜群のアクセスの良さ
おいしい飲食店も次々オープン

 そんなどん底の09年、熱海出身の街づくりプロデューサー・市来広一郎さんが東京からUターンで熱海に戻りNPO法人「atamista」を設立。熱海復興のため、さまざまな活動を行ったのとともに、熱海市も街の復興と観光需要回復に向けた取り組みを強化しました。その結果、宿泊客数は12年からV字回復し、19年の市内宿泊客数が311万9108人となり、5年連続で300万人を超えるまでに至りました。

 ペットと泊まれる温泉宿も比較的多くある熱海には、私たちも何度も訪れていて、街がまた勢いを取り戻しつつある空気をリアルに感じ、この地が二拠点目として最適だと思っていました。まず熱海の最大のポイントは、新幹線で品川から40分という抜群のアクセスの良さです。そして駅から近い場所にグレードの高いマンションもいくつかありました。

 これなら電車を使った熱海と東京の往来も便利です。そして、熱海の周りをいろいろと調べていくと、箱根までは車で30分程度で行ける上に、三島、沼津、伊東、修善寺など伊豆の街々にも、車や電車でアクセスがいいことが分かってきました。御殿場のアウトレットにも、少し足を延ばせば下田や河津桜で有名な河津にも気軽に行ける最高のロケーションです。

 また、先に二拠点目を熱海に構えた友人によると、東京から次々に腕の立つシェフや板前さんたちが熱海に移住し、おいしい飲食店やおしゃれなバーをオープンしているとのことで、知れば知るほど、熱海に可能性を感じました。

 そこで、二地域居住の候補地を熱海に絞り、物件探しに本腰を入れることにしました。しかし、いい物件との出合いはそう簡単には巡っては来ません。

 そんな中、駅から近く高台にあり、海が一望できるロケーションで、さらに温泉も広いという私たちの希望にぴったりのマンションに出合いましたが、惜しくもタッチの差で売れてしまいました。私たちは、もうこのマンション以外にはないと思い、ほかの物件を見るのをやめて、空き部屋が出るのを気長に待つことに決めました。そこから約1年が過ぎ、ようやくこのマンションの住人になることができたのです。