創価学会Photo:PIXTA

創価学会員が自身のツイッター(現X)に聖教新聞の写真を載せたのは著作権侵害に当たるとして、創価学会が学会員に419万円の損害賠償請求を求めた訴訟の判決があり、東京地方裁判所の中島基至裁判長は学会側の主張を全面的に退けた。学会は判決を不服とし、控訴する方針だ。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

学会は「宗教団体ではなく、政治団体」
SNS投稿した現役学会員を狙い撃ち!?

「学会に親和的な評価は放置し、批判する者だけを狙い撃ちにするやり方が許されるはずがない。司法が表現の自由を認めてくれた」

 そう語るのは、今回の訴訟の被告である広島県在住の七ツ星さん(ハンドル名)だ。七ツ星さんは学生時代に創価学会員の親友に折伏されて以来、40年超の学会員。故池田大作名誉会長の著書を愛読し、地域の行事にも積極的に参加してきた。学会が出版・販売する聖教新聞の拡販(啓蒙)活動にかつて従事し、今も同紙を購読している。

 そんな七ツ星さんの元に、学会から訴状が届いたのは昨年7月のことだ。学会が問題視したのは、七ツ星さんが2018年10月から1年間、「@nanatubosi424」というアカウント名でツイッター(現X)に投稿した内容にあった。

 例えば19年10月にはこんな投稿をしている。

「今日の聖教新聞1面。学会本部に対策本部。『連携を密にしながら、被害状況の把握、会員の奨励などに全力を挙げている』との記事だが、会長の動向、人的援助(ボランティア)手配や義援金の手配には一言も言及せず。つまりは…また?、何もしないって事だろうか?」

 聖教新聞はその日、学会が原田稔会長を本部長とする台風19号の災害対策本部を設置したことを1面で報じている。その記事を読んで感じた個人的な感想をSNSでつぶやいたわけだ。

 他に投稿したツイート内容は下記の通りだ。

「宗教団体ではなく、政治団体。創価学会ではなく選挙学会と言われても仕方がないな」(19年5月10日投稿)

「『創価学会仏』の会長さんは一番苦しんでいる最前線から最も遠い地で『勝利!勝利!』と煽るだけの存在なのでしょうか(苦笑)」(同7月3日投稿)

 こうした投稿に学会はキレた。通信事業者に対して発信者情報の開示を求めて七ツ星さんの氏名や住所を特定し、東京地方裁判所に訴訟を起こしたのである。

 だが、結論から言えば学会はこの訴訟に完敗した。裁判所に「原告の請求は理由がない」と指摘され、請求がいずれも棄却されたのである。一体なぜか。次ページで明らかにする。