生成AI 大進化#1Photo:VCG/gettyimages

生成AIの覇権争いは、米オープンAIと、同社と提携する米マイクロソフトがリードする。さらにオープンAIは強力な最新モデル「OpenAI o1」を打ち出し、盤石の体制を築こうとしている。特集『生成AI 大進化』の#1では、進化が続く生成AIを巡る海外大手テック企業の戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

オープンAIの最新モデル「OpenAI o1」は
ChatGPT最新版が解けない問題も解ける

 生成AIブームの火付け役「ChatGPT」を開発した米オープンAIが、新たな一手を打った。

 9月12日、生成AIの最新モデル「OpenAI o1」を発表。社名を冠し、ChatGPTとは違う名前を付けたことから、その意気込みが伝わってくる。

 o1の特徴は、AIの“考える力”を強化したことだ。同社の資料によれば、基となった訓練データは、o1とChatGPT最新版「4o」のいずれも「2023年10月まで」のものとされており、同じだと考えられる。

 AIが問題解決する際の推論の力を強化学習することで、o1は人間の博士号並みの能力を獲得。ChatGPTでは解答できなかった数学の問題のほかにも、暗号やクロスワードをo1は解くことができるようになったという。

 o1は現時点ではプレビュー版で、応答も遅いため、普段使いならば4oに軍配が上がる。それでも難しいコーディングなどをo1にやらせておき、空いた時間に別の作業をするといった働き方の改革に貢献できそうだ。

次ページでは、o1を投入したオープンAIの狙いや恩恵を受ける企業のほか、同社と提携する米マイクロソフトや追撃する米グーグル、米アマゾン・ドット・コムの戦略に迫る。