生成AI 大進化#12Photo:Surasak Suwanmake/gettyimages

エクセルやパワーポイントといったビジネスで使うソフトウエアへの生成AIの搭載が進んでいる。AIへの指示出し力を向上すれば、誰でも“達人”になれる時代が迫っている。米マイクロソフトと米グーグルの社員たちは、どうやって生成AIを使いこなしているのか。特集『生成AI 大進化』の#12では、米IT大手2社が推奨するAI活用プロンプト術をお届けする。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

エクセル、パワーポイントのAI機能を強化
業務ソフトに組み込まれAIはますます身近に

「Copilotは進化している。日々の作業の場にどれだけ深く統合されているかをお見せしよう」──。

 9月16日、米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)はオンライン講演でこう力説した。

 同社の生成AI「Copilot」の「Wave2(第2波)」と題されたこの日のイベントでは、「エクセル」や「パワーポイント」などといった同社の業務ツール「マイクロソフト365」の各ソフトウエアについて、AI機能を強化することが発表された。

「Copilotは、365を利用する4億人以上の人々の業務フローと成果を変革し、急速に成長している」と講演で語ったナデラ氏は2023年初め、自社の全製品にAIを搭載することを掲げた。その宣言通り、エクセルの作業画面上へのCopilotボタンの追加など、AIは業務ソフトに組み込まれたことでますます身近な存在となっている。

「画面の切り替えなしでAIを使えるようにし、ユーザーの業務と一致させることで、できることを増やしたい」と、日本マイクロソフトの山田恭平業務執行役員は狙いを解説する。

 今回のイベントでも、エクセルについては、データ入力や簡単な処理をCopilotに任せることのできる機能を、一般向けにも提供開始することが発表された。

 さらに、AIに指示するだけで、プログラミング言語「Python」を使った高度なデータ分析を実行できる新機能を開発。プログラミングのスキルがなくとも、AIに適切な指示が出せれば誰でもエクセルの“達人”になれる時代が到来しそうだ。

AIに指示するだけで「Python」を使った高度なデータ分析ができるエクセルの新機能AIに指示するだけで「Python」を使った高度なデータ分析ができるエクセルの新機能 Photo:Microsoft 拡大画像表示

 また、パワポではAIと対話しながらプレゼンテーションの構成を作る新機能が追加された。プレゼンのテーマや目的を告げると、AIが構成のたたき台を作成。トピックの順番の変更や、追加要素などを指示することで、AIが一緒にプレゼンのドラフトを作成してくれる。

AIと対話することで、プロットからプレゼンテーション資料の作成まで支援してくれるパワーポイントの新機能AIと対話することで、プロットからプレゼンテーション資料の作成まで支援してくれるパワーポイントの新機能 Photo:Microsoft 拡大画像表示

「スライドの順番など、もっと利用者のイメージに近い資料をAIに作成してほしいというフィードバックを基に、構成作りから手助けするようにした」(山田氏)

 ただ、こうしたことが可能なのはマイクロソフトだけではない。米グーグルも文書作成や表計算、プレゼン資料作成など、業務ツール「グーグル ワークスペース」の各ソフトへの生成AI「Gemini」の搭載を進めている。

 マイクロソフトとグーグルの社員たちは、どうやって生成AIを使いこなしているのか。