複数の走行モードを選んで走れる

 電子制御で複数の走行モードが選べるのだが、楽しく走りたいなら「ゴーカートモード」一択で。エコモードはダルダルになり、お勧めできない。クルマの流れに乗るためには、深くアクセルを踏み込むことになるのだから、結局は「エコ」な走りにならないのではないか。周囲の迷惑を考えない、「エゴ」走行を続けるのなら話は別だが。

 低速トルクの厚みが良い。ターボラグの類は一切感じられない。モデルチェンジを重ねるたびにスクスクとボディサイズが成長していき、昨今ではこのクルマを「MINI」と呼んで良いのか疑問に思うほどの大きさになった。それでも都内の取り回しは非常に良い。見通しも良い。

河口湖に向かう途中、前モデルのオーナーに会った

 翌日は早起きして河口湖へ向かった。甲州街道を抜けて中央道に向かう。調布の入口の手前にある、最後のコンビニに入ると、ちょうど前モデルのクーパーSが停まっていた。大切に扱っているのだろう。ピカピカに磨き上げられている。ナンバーは「3298」だ。本当にMINIが好きなのだろう。

 クルマから降りると、真面目そうな銀縁の青年が話しかけてきた。

「新しいやつですね。いいなあ」

 いや実は試乗車なんですよ、僕のじゃないんです……と説明するのも面倒なので、笑顔で「昨日来たばかりなんです」と返事をする。昨日来たこと自体はウソではないし。

「とてもいいクルマなんですが、ちょっと地味ですよね。せっかくのSなのだから、やはりセンター2本出しとエアスクープが欲しかったな」

「ですよねー」という返事を期待していたのだが、青年の答えは正反対だった。