前モデルのオーナーが見た、新しいデザインの印象は……

「そう思われますか?僕は新しい方が良いです。ゴテゴテしていない方が良い。おとなしい外見で速いほうが、ずっとカッコ良くないですか?僕はいまこのクルマを見て、新しいのを買う意志が固まりました。来年の5月が車検なので、その時に買い替えます」
「え?マジで……?」
「はい。前のSはやり過ぎですよ。特にフロントのここなんて(エアスクープを指さして)、単なるダミーですからね。本当に意味がない。邪魔なだけです」
「ははぁ……」
「内装も、リサイクルのポリエステルに革の部分も合皮でしょう。そういう企業姿勢も素敵じゃないですか」
「リサイクル素材……そうだったんですか」

 コンビニで会った若い衆に、クルマの背景を教えていただくとは夢にも思っていませんでした。面目次第もございません。5分ほど話して、コーヒーを買って青年と別れた。どんな仕事をしている人だろう。見た目は銀行員ぽかった。

走り心地は超快感、超高級ゴーカートのよう

 中央道に入る。早い時間なので道は空いている。アクセルを踏みこむ。強い加速。実に気持ちが良い。やや演出過多な太い排気音が飛び込んで来る。ここまで造らなくて良いと思う。八王子を超えて更に速度を上げる。ゆるいカーブが続く。車体はピタリと安定している。高速安定性は極めて良い。河口湖ICで降りて、ワインディングに向かう。

 本領発揮。ああ快感。「ゴーカートフィーリング」に偽りなし。それでいてしっとり上質。言うなれば、屋根付きエアコン付きの超高級ゴーカートだ。キャリーオーバーを前モデルからの「煮直し」と言うなかれ。しっかりとパワーアップされ、熟成されている。