ディスプレイ下に並ぶ物理スイッチ類の中央に、鍵を模したエンジン始動用のスイッチがある。ブレーキを踏み、これを右にひねるとエンジンが始動する。その右側には驚くほど小さなシフトセレクトスイッチ。下にチョンと押すとDに入る。

MINIクーパーSのダッシュボードMINIクーパーSのダッシュボード。ステアリングの前にはメーター等はいっさいない Photo by F.Y.

走らせてみると、足回りは硬いが上質な走り

 MINIクーパーSに搭載されるエンジンは、2リットル直列4気筒ターボ。最高出力204馬力、最大トルク300Nmを発揮する。Sとして初の200馬力超え。0-100km/h加速は6.6秒を達成しているという。トランスミッションは7速DCT。EVのMINIクーパーは新開発だが、ICEの方はプラットフォームもエンジンもトランスミッションも旧型からのキャリーオーバーである。

 早速走らせてみよう。走り出しから分かるキビキビ感。これは期待ができそうだ。

 幹線道路に出るまでに複数の工事箇所があった。道路には鉄板が敷かれ、雑に仕上げられたアスファルトには大きな段差がある。MINIクーパーSはその段差をひとつひとつ拾っていく。だがその拾い方にイヤな突き上げ感はなく、「ゴツゴツ」というよりも、「トントン」と丸く角が削られたような振動が伝わってくる。「MINIらしい硬い足回り」だが、安っぽさは一切ない。時間をかけて、上質に仕上げられた印象だ。