ダッシュボード中央に、大きく丸いディスプレイが……

 MINIクーパーの試乗車を受け取り、外観をグルっと眺めて周り、Sにしては地味目な外見にいささか拍子抜けしつつ車内に乗り込む。ダッシュボード中央にドンと鎮座ましますのは、直径240mmの大型円形ディスプレイ。サムスンディプレイ製の有機ELが採用されている。

 そういえばサムスンディスプレイは、2年ほど前にLCD事業から撤退し、流行りの「選択と集中」とやらで今や有機ELに特化しているのであった。解像度向上を狙ってアルバックと共同開発していた垂直蒸着工程のプロジェクトは、つい最近解散してしまったようだが、この先どうなるのだろう。株式の8割以上を握る親会社のサムスン電子もこれから大リストラを敢行するし、かの業界の浮沈も激しいようで……。

 クルマに話を戻そう。ステアリングを握る。と、眼の前にあるはずのメーター類は一切排除されている。ステアリングの隙間からは、ニットの素材だけが見える。

 全ての情報は先の円形センターディスプレイに集約されている。スピードメーターなど、常時視界の中に置いておきたい情報は、ヘッドアップディスプレイに表示されるようになっている。この表示方法が面白い。フロントガラス内側に反射させるのではなく、透明の樹脂製スクリーンを立たせ、そこに写し込むようにしているのだ。

大きな有機ELディスプレイダッシュボード中央には、大きな有機ELディスプレイが。MINIクーパーSを運転すると、ドライバーの視界はこういう感じになる Photo by F.Y.
運転しているようす運転しているようす。写真だと分かりづらいが、スピードメーターなどの情報はヘッドアップディスプレイに表示されるので、視線を下げる必要がない Photo by F.Y.