「全体を見つつ、個々を見る」視点が
人事には欠かせない

 最後に人事において重要なのは、「全体を見つつ、個々を見る」ことです。

 公平性が非常に大事なことは言うまでもありませんが、加えて相手の立場や置かれた状況を考えなければなりません。

 ある大手銀行の人事部長を経験した人によると、特に転勤を伴う異動の場合は、従業員の家族や両親の状況まで考えて決めたそうです。

 現在は共働きが増えているので、転勤させるとパートナーの仕事はどうなるのか。親の介護をしているとか、子どもに障がいがあるというなどの家庭の事情も考慮しなければなりません。

 もちろん全ての事情をくむことはできませんが、何万人の社員がいても一人一人を見て、本人も周囲も納得できる異動・昇進の判断が必要だということです。