本当に怖いのは
リタイア後にも延々と続くローン返済

 金利上昇よりも恐ろしい落とし穴――それは、「返済期間の設定」だ。

 一般的に住宅ローンの返済期間は、「35年間」または「80歳までの年数」のいずれか短いほうである。借り入れ時の年齢が45歳までの人なら、35年ローンが組める仕組みだ。

 返済期間が長いほど毎月の返済額が少なくなる。モデルルームなどでは物件を買いやすく見せるため、35年、または80歳までの「借り手にとって最長の返済期間」を勧められることがほとんどだ。

 長い返済期間を勧められると、借り手は心の中で「70歳過ぎまで返済が続くのってどうかな」と思うものだが、不動産事業者に「少しずつ繰り上げ返済すればいいんですよ」と言われ、そんなものなのかと、つい、最長のローンを組んでしまう。

 また、金利は低いほど毎月の返済額が少なくなる。返済期間と同様に返済額を少なくし、売りやすくするため、適用金利が最も低い変動金利を勧められることになる。

 1%に満たない変動金利と35年返済や80歳までの返済期間を組み合わせると、毎月の返済額は少なくなる。しかし、身の丈以上の借入額になり、「借り過ぎのリスク」を引き起こす。70歳を過ぎても返済が続くローンを、年金生活に入る前に完済するのか具体的なプランを立てずに契約することが、大きなリスクなのである。

 具体例で見ていこう。