◆現在55歳のAさんのケース
45歳の時に4000万円を35年返済、変動金利(0.6%)で借りた

 毎月の返済額は約10万6000円。無理のない返済額だ。しかし、完済年齢は80歳となる。

 借り入れ当初は繰り上げ返済をするつもりであったが、子どもの教育費が予想以上にかかり、資金を捻出する余裕がなく、一度も実行していない。現在のローン残高は約2940万円、金利が変わらなかったと仮定した場合の60歳時予想残高は約2390万円だ。

 Aさんの勤務する会社は、60歳で定年退職、その後は65歳になるまで再雇用で働くことができるが、人事部に確認すると、再雇用の給与は大幅にダウンし、年収400万円に満たないようだ。400万円でローンを返済しながら暮らしていけるか……。おそらく無理であろう。

 65歳で再雇用契約が終わり、働かないと年金だけの収入になると、さらに家計収支は悪化する。繰り上げ返済をしないと80歳まで毎月の約11万円の返済が続くことになる。

 ローンを組んだ40代の時は1000万円近くの年収があり、50代の今もそれをキープできているが、60歳で完済するほどの貯蓄はできていないのが現状だ。

 60歳で退職金を受け取れるが、ローンを完済すると老後資金が心もとないものになってしまうから、一括返済はできない。

 60歳以降のローン返済をどうするといいのか。