その社員の方は、むしろ謙虚な印象の方だったので驚きでした。こうして、思わぬ形で「マウンティング」が発生してしまうこともあるのだと感じました。

 その方は、「マウント取られてムカついた!」ではなく、「そういうふうに思わせてしまって反省しなければ」「新たな知識を教えていただいたから感謝しないと」と考える方だったので、商談自体に影響はなく、むしろより良好な関係性を築けている様子でした。

 思わぬ形でマウント合戦になりそうになった際にも、その受け止め方で、その後の関係性に大きな影響が出るのだと感じました。

厄介な「逆マウンティング」
勝手に“山に登らされる”

 マウンティングは困ったものですが、実はそれより厄介といえるのが、「逆マウンティング」です。

 逆マウンティングというのは、自分を下げることで相手を山に登らせた状態に持っていく行為。自分の意図とは関係なく、マウントを取る形になってしまう事象です。マウントを取りたい人は勝手に取ればいいですが、山に登るつもりがないこちら側が“勝手に持ち上げられてしまう”のはとても厄介な事象です。

 自分を下げることで相手にマウントを取らせるこの行為。場合によっては、「あの人からマウントを取られた!」と勝手に吹聴される可能性もあります。

 こういう気質の人は成長意欲が乏しいとも言えるので、ビジネスシーンで遭遇すると非常に厄介です。関わらないようにしたいですが、そういうわけにもいかない場合は、巻き込んでチームになってしまい、「そんなこと言っている場合じゃない!」と逃げ場を作らせないのが効果的だと思います。