主要業界・主要企業における月次の業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、7〜9月度の総合スーパー(GMS)編だ。
イトーヨーカ堂が社名から消える...
総合スーパーの主要3社が発表した2024年7〜9月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯イトーヨーカ堂(セブン&アイ・ホールディングス〈HD〉)の既存店売上高
7月度:前年同月比95.2%(4.8%減)
8月度:同101.8%(1.8%増)
9月度:同99.8%(0.2%減)
◯ユニー(パン・パシフィック・インターナショナルHD)の既存店売上高
7月度:前年同月比98.8%(1.2%減)
8月度:同104.9%(4.9%増)
9月度:同101.6%(1.6%増)
◯イオンリテール(イオン)の既存店売上高
7月度:前年同月比100.5%(0.5%増)
8月度:同105.8%(5.8%増)
9月度:同102.6%(2.6%増)
ユニーが2カ月、イオンが3カ月連続で前年同月に比べて増収している一方、イトーヨーカ堂は7月度と9月度が前年同月比でマイナスになっている。この事実に、「ああ、やっぱりね……」と思った人も多いのではないだろうか。
10月10日、セブン&アイHDは、グループの再編計画を発表した。イトーヨーカ堂などのスーパーや専門店などの事業を束ねる中間持ち株会社を設立することで、実質的にコンビニ以外の事業を分離する。中間持株会社は、外部パートナーへ株式の一部売却を検討するという。
そして、グループ再編に伴って、来年5月に社名を「セブン‐イレブン・コーポレーション」に変更することも明らかになった。セブン&アイの「アイ」はグループの祖業であるイトーヨーカ堂の頭文字であり、その文字が消えることになる。
月次の業績に話を戻すと、直近3カ月の既存店売上高を見る限り、イトーヨーカ堂が「独り負け」の様相を呈している。最盛期の16年2月末には182店舗が営業していたが、相次ぐ閉店で現在は108店舗にまで縮小した。かつての業界の雄に、何が起きたのだろうか? 過去約5年分もの月次動向を分析して、総合スーパーの明暗を確かめてみよう。