現行ロードスター開発主査が語る
MTの正しい使い方とは?

 今回、インストラクターの一人に、現行ロードスター(ND)の開発責任者である、齋藤茂樹氏の姿もあった。

 10年前のアカデミー立ち上げ時から、インストラクターとして参加しているという。

現行ロードスター(ND)の開発主査、齋藤茂樹氏現行ロードスター(ND)の開発主査、齋藤茂樹氏 Photo by K.M.

 マツダは日系メーカーの中でも、MTのラインアップを重要視しており、特に「ロードスター」ではMTの需要が少なくない。

 だが、そうしたMT装着車に対して「自分が日頃やっているMT操作方法は、本当に正しいのか、という声が多い」(齋藤氏)という。

 MTに関する講義は、まず座学としてエンジン回転数とギア比との関係など理論的な基礎を確認する。

 ロードスターでいえば、「シフトダウンする際、約2000rpm(回転)に下がったところで操作するのがめど」(齋藤氏)というが、決してこれを必ず守らなければならない訳ではない。

 また、一般的には、シフトしない時にもシフトレバーから手を離さずにそのまま運転を続ける人が少なくないという。運転中は、両手でハンドルを握ることが基本であるため「安全性の面もあるが、技術的には(シフトをしやすくする)シンクロ(機能)を傷めてしまう可能性もある」(齋藤氏)として、シフトする時以外はシフターに手を触れないことを推奨している。

 実施講習では、まずインストラクターがコース内を1速、2速、そして3速を使ったシフトアップとシフトダウンの基本形で運転し、受講者は助手席からその様子を見る。

 次に、受講者が運転して、多くの人が自己流であるMT操作について、インストラクターがアドバイスする。

 例えば「1速での半クラッチは少なめに」とか、「3速から2速へのシフトダウンは、少しエンジン回転数が落ちてからすれば、よりスムーズな減速ができる」といった具合だ。

「ロードスター」を使ったMTの扱い方講習の様子「ロードスター」を使ったMTの扱い方講習の様子 Photo by K.M.

 実際、ロードスターユーザーに限らず、MTユーザーの多くが「自己流を続けているが、正解はいったい何か?」という疑問の声が想定以上に多いことに、マツダとして驚いているという。

 そのため、改めてMTの扱い方の基本を丁寧に説明し、ドライバーそれぞれの実情に合ったカタチで、自己流を完全に否定するのではなく、より楽しく運転できることに向けたアドバイスを心がけている。