マスコミや野党は石破首相が「変節」をしたということを鬼の首をとったかのように騒ぐが、《「自民党総裁選で勝つ人の3条件」を満たす“唯一の”候補とは?見えた!次期総理大臣の顔》で解説をしたように、首相になって「変節」をしない人のほうが珍しい。3年前の岸田首相も就任前に掲げた政策を首相になってしれっと引っ込めている。

 なぜこういう「変節」が生じるかというと、冒頭で紹介した麻生氏の言葉にもあるように「議員は仲間作りが大事」だからだ。

 日本の内閣総理大臣というのは、アメリカなどの大統領制と違って「独裁」が起こりにくいシステムである。最大与党内の国会議員たちが選ぶということになっているが、実態としては「仲間たちが“神輿”として担ぎ上げてくれる」という表現が正しい。つまり、調子に乗って自分の好き勝手なことをやりだすと、仲間たちに見放され、権力の座から転げ落ちる仕組みなのだ。

 だから首相になった人は、自分を担ぎ上げてくれた仲間の言うことに耳を傾けざるを得ない。その中でも特に頭が上がらないのが、多くの担ぎ手をまとめるボス的な重鎮議員だ。今回の石破首相で言えば、菅義偉氏と森山裕幹事長である。

 だから当然、発言はブレブレになる。自分が良いと思って何かを発言したり、政策を進めたりするとすぐに重鎮からのホットラインで、あれやこれやと注文や指図をされることは容易に想像されよう。関係各位の顔を立てるので、「石破カラー」など出せるわけがない。