このような「船頭多くして船山に登る」的なシステムが続く限り、誰が首相になったところで「変節」はするものなのだ。それは高市氏とて例外ではない。

 高市氏を熱烈に支持する皆さんは、高市首相が誕生をすれば日本が劇的に変化をする、みたいなことをおっしゃっているが、残念ながら、それはかなり浮世離れした話だ。

 高市氏のリーダーシップがないとか、有能ではないという話ではなく、前述のような政治システム、自民党内の力学を見る限り、現実的ではないと言いたいのだ。

 例えば、このまま倒閣運動が盛り上がり、石破おろしの風が吹いて、なんやかんやあって高市首相が誕生したとしよう。そこで支持者や仲間たちが新しい日本の第一歩として期待をするのは「積極財政」だろう。

 ご存じのように高市氏は「戦略的な財政出動」を強く主張しており、財務省の方針と対立をしている。少し前にも「日本の借金」についても、「債務単独でみると非常に厳しいが、資産を合わせたネットで見ると、主要7カ国(G7)の中でも上から2番目と良好だ」と述べて、鈴木俊一財務大臣から「適切ではない」と釘を刺されたばかりだ。(朝日新聞デジタル 9月24日)