ところが、子育てになったとたんに、子どもは他の競い合う相手ではなく、きわめて自分自身に近い存在になります。

 すると、親が外界や日常社会で使っている認知的思考のままだと、自分ではない自分の扱い方が苦手なので、どうすればいいのかわからなくなり、混乱してしまう――。

 これが、子育てが苦しくなってしまう原因とも言えるでしょう。しかし、子育てからは逃げられないので、これまでの認知的な思考の癖を中心にした子育てになってしまうのです。つまり、いつもどこかで結果を追い求め、他者と競争したり、比べたりしてしまうわけです。子どもも親も、限られたモノサシで比べたり、競争するものではないのに……。

親は「非認知的思考」をもって
子どもの個性・才能を信じよう

 自分らしさこそ、自分に向き合う「非認知的思考」です。

 親自身が「自分の自分らしさ」を大事に生きていなければ、子どもに対しても、「自分らしさ」を第一にした声かけができないでしょう。

 日常生活の中で、学歴や偏差値、収入など、誰かが決めた、限られた尺度で人の価値が決まるのではなく、「その人しかない、その子どもにしかない個性や才能にこそ、価値がある」と親が考えていること、信用していることが何よりも大切です。