それは、認知脳でつくられた社会や世界を否定するわけではありません。

 認知的な比較を背景にした社会だからこそ、こうした親の意識が子どもには必要になります。だからこそ、社会に出てから急に「自分らしく生きよう」と考えても遅いわけです。

 子どもの頃から「自分の価値は自分にしかない」と親に個性や才能が受け入れられていることが、子どもの個性をつぶすことなく、伸ばしてあげられるのです。

「今のあなたでいいんだよ」
という声かけが大切

 ところで、「自分らしさ」とは何なのでしょうか?

 もし「誰かが決める自分らしさ」だとしたら、それはユングが述べたようなペルソナになりかねません。誰かに合わせた仮面を被るようになると、苦しくなっていきます。

 学校に行くようになり、まわりの目が気になるようになると、つまり、「社会的なつながりが出てくると、本来の自分らしさが失われていく」というリスクを、子どもたちは誰もが有しています。

 わが子の「自分らしさ」という個性や才能を信じてあげるには、まずは「今のあなたでいいんだよ!」という声かけだけで十分です。