トップダウン型計画の難しさ
策定よりも実行時の協力

 ここで立ち現れるのは、「トップダウン」で策定した経営計画に対する事業部や現場の社員の納得感が醸成できないという問題だ。

 筆者が中期経営計画策定に関する経営セミナーなどに登壇していても、計画策定段階での悩みよりもむしろ、実行フェーズにおいて事業部の幹部や現場の社員の理解や協力を得られずに困っているという切実な声が多く寄せられる。

 そこで、以下では、中期経営計画の実行フェーズを成功に導く方法論について、現役コンサルタント(かつ証券アナリスト)の視点から解説していきたい。

経営企画の機能強化と
現場を巻き込むこと

 中期経営計画の実行フェーズを成功に導くポイントは大きく4つある。

 第1のポイントは、経営企画部門の権威化と機能強化だ。

 中期経営計画の策定をリードする経営企画部門は、経営トップ「肝入り」の直轄組織であるべきである。

 経営企画室長/部長は、事業部管掌の取締役や執行役員の顔色をうかがう必要のないポジションに引き上げる必要があるし、その配下には優秀な社員/メンバーを集めてあげる必要がある。

 実行フェーズにおいては、経営企画部門は嫌われ役を引き受ける覚悟で進捗管理を差配する必要がある。場合によっては、コンサルティング会社をPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)の補佐役として上手く活用することも一計であろう。

 もちろん、中期経営計画の策定を企画部門や外部コンサルに丸投げするのではなく、経営トップが自らイニシアティブを取ることが最も有効であることは論を待たない。

 第2のポイントは、計画策定の段階から現場を巻き込んでいくことだ。

 「中期経営計画は企画部門が勝手に作った机上の空論」「私は聞いてない」といった後出しジャンケンのような声を封じ込めるためにも、声の大きな事業部責任者など社内のキーパーソンを当事者として計画策定プロセスに包含していくことが肝要だ。

 計画策定プロセスにおける個別説明や根回しといった裏ルートではなく、経営幹部が一堂に会しての集中討議や、場合によっては幹部合宿のようなオープンな場を設けて、キーパーソンの意見も吸い上げたうえで全体方針を決定していく必要がある。「関係者全ての意見を集約して同意した経営計画」でなくては、錦の御旗の役割は果たせない。

次のページ

進捗管理も経営企画が主導

TOP