なお、具体的には2024年4月から、毎月の第1号被保険者の介護保険料は全国平均基準額が6225円(前回6014円)となっている。各地域(市町村)の平均基準額に段階ごとの値を乗ずれば介護保険料のおおよその金額が決まる。

 仮に、基準額が6000円であれば第1段階が0.285であるから1710円、第13段階は2.4であるから1万4400円というわけだ。これが市町村によって細分化されると保険料の「格差」も所得に応じて拡充する。

図表:介護保険料13段階別における人数区分同書より転載 拡大画像表示
書影『介護格差』(岩波新書)『介護格差』(岩波新書)
結城康博 著

 なお、国基準13段階で階層区分をみると第1段階がもっとも多い(図1-3)。介護保険の被保険者は約3600万人だが、約650万人が生活保護受給者カ年収80万円以下と考えられる。

 いっぽう年収320万円以上となる第9~13段階は約234万人ということだ。保険料額からだけでも高齢者の年収格差が浮き彫りとなる。

 ただし、介護保険料から認識できる格差は、あくまでも収入のみの数値であり、既述の事例から、収入は少なくとも、かなりの資産家がいないわけではないということもわかる。また、現役世代のうちから老後の介護のために預貯金を増やして備えている者もいるだろう。