「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

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老いた親が「食事の味付けに注文をつけてくる」

「料理の味つけが濃すぎる。口に合わない」。高齢者の方から、「子どもの料理の味つけが合わない(味が薄い、味が濃い、噛み切れない、物足りない、脂っこい)」という相談をよく受けます。

 こう言われたら、あなたはきっと「心を込めてつくった料理にいちゃもんをつけるなんてひどい」と思うでしょう。口にはしないにせよ「もう食べなくていい!」という気持ちにもなると思います。

 しかし、みんなにとっての「ちょうどいい」は、一人ひとり違っていて当たり前です。濃くて脂っこい味つけが好きな人もいれば、薄味でサッパリしたものを好んで食べる人もいます。

 ですので、そんなときは「今度から薄味でつくるから、お好みで調整してね」と軽くかわしましょう。イライラする気持ちも痛いほどわかりますが、口論になったところでさらに嫌な気持ちになるだけです。

 お好みで味つけを調節できるように、「薄味でつくっておく」のがおすすめです。薄味で料理しておけば、あとから塩やしょう油などを足して調整できます。

 余談ですが、エアコンの室温設定も同じロジックで考えるのがいいようです。私が経営するリハビリ施設では、寒さを訴える方には、保温用の毛布やネックウォーマー、レッグウォーマー、厚手の靴下などを貸し出しています。

 寒い場合は、着こむことで調節できますが、暑く感じる場合、衣服を脱ぐにしても限界があるからです。親自身が自分で調整できるようにするのが、あなたのストレスを減らす近道です。