「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
老いた親の足元に要注意
「最近、よくつまづいてない?」。転倒回数が増えている親を心配するひと言です。頻繁に転倒したり、つまづいているのであれば、それは老化が加速している兆候ですから、早期にリハビリなどの対処を行いたいところです。なんの対処も施さないままでは、事態が悪化します。
まず、老いてくると「骨密度」が低下します。そして、転倒などによって骨折すると、「入院→手術→約3ヵ月のリハビリ」になるパターンが多いです。
しかもこれはまだマシな方で、ひどい場合には、「骨折→保存適応(ギプスなどによる固定)→3ヵ月の寝たきり→認知症発症→認知症進行」となることもあります。このように、転倒は想像以上に怖いものです。こうなったら、早めに医療機関や介護サービスを頼りましょう。
とはいえ、冒頭の伝え方では、転倒する親を責めるような表現になっています。仮に伝わっても「まだ大丈夫」などと切り返されてしまうかもしれません。
ですから、こういった場合は「転んで、入院して認知症が進んじゃうことがあるんだって! 手遅れになる前に一度、お医者さんに診てもらおうか」と声をかけてみてください。あくまでイメージですが、このように「怖い話」として親に伝えることも1つの手です。認知症になりたい人はいませんから、話は聞いてもらえる確率がぐっと上がります。