「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。

夫婦Photo: Adobe Stock

老いた親がやせ細ってきた気がする

「体重が落ちているけど?」。以前に会ったときよりもげっそりして見える、前よりも食べる量が減ったなど、親の変化を心配するひと言です。一般的には、人の見た目を指摘するのはご法度です。

 しかし、親子の会話においては悪い言葉がけではありません。むしろ「体重の変化」を確認することは、病気の可能性をいち早く察知し、病気があった場合にも「早期発見」につなげられるベストアクションです。

 とりわけ高齢者がやせ細ってきた場合、重大な病気が隠されていることが少なくありません。そのため「体重の変化」については、オブラートに包まず、単刀直入に聞くようにしてください。

 曖昧な表現では、正確な現状把握がしづらくなります。こういったデリケートなことは、なかなか他人では指摘できません。血のつながった親子だからこそ指摘できることです。つまり、あなたにしかできないことです。

 大切なのは、いざというときに直言できるようなんでも言い合える関係性を日頃から少しずつ構築しておくことです。

 ただ、できるなら「体調に問題がありそうだけれど、自分ではなにか感じる?」など、本人がどう感じているかも確認してください。より親の変化を詳しく把握できるでしょう。