7~9月期の成長率は
2四半期連続で減速
最近、中国経済の減速傾向が鮮明となっている。
10月18日に発表された、2024年7~9月期の中国の実質GDP成長率は、前年同期比+4.6%(4~6月期+4.7%)と2四半期連続で減速した。
前期からの成長率(前期比)は+0.9%と、4~6月期の+0.5%からは小幅に高まった。ただし、1年分の成長率に換算した前期比年率は+3.6%と、中国政府が掲げる今年の成長率目標「+5%前後」には届かず、力強さを欠いた。
中国経済が減速している要因として、以下3点が考えられる。
まず1点目は、不動産市場の低迷である。今年5月に、地方政府による住宅在庫買い取り策などの不動産市場テコ入れ策が発表されたものの、不動産デベロッパーの経営難に対する消費者の不安が払拭されず、不動産販売や投資の落ち込みが続いている。
2点目は、個人消費の停滞である。中国では都市部家計の保有資産の7割が住宅に偏っていると言われる。2021年半ば以降、約3年にわたって住宅価格の下落が続く中、保有住宅の資産価値低下を懸念する人々が消費を手控える、いわゆる「逆資産効果」が発生しているとみられる。また、雇用・所得環境に対する先行き不安も消費を下押ししている模様だ。
品目別の動向をみると、通信機器(スマホ)は好調だが、小売りの約3割を占める自動車や、建材などの住宅関連が不振である。コロナ禍後に急回復した飲食サービスや化粧品・貴金属といった選択的消費財も、勢いを失っている。
3点目は、製造業の設備投資の息切れである。これまで製造業投資は、好調な輸出や、中国政府が重視する半導体など先端製造業への投資強化の動きをうけて、伸びを高めてきたが、7~9月期には5四半期ぶりに伸びが鈍化した。過剰生産能力が問題となっている太陽光発電などの新エネ製品を含む電気機械の伸びが大きく落ち込んだ。