そもそも、日野自の業績悪化の要因は、22年に発覚したエンジン認証不正にほかならない。型式認証を取得する際に実施する排出ガスや燃費データを改ざんしていたため、国内だけでなく世界各地で不正のあったエンジンを搭載した車両の出荷を停止する事態に発展した。さらに、米国やカナダなどで顧客の物流会社などの集団訴訟を受けているほか、各国当局による調査も続いている。
日野自の純利益は、20年度が▲75億円、21年度が▲847億円、22年度が▲1177億円と3期連続の赤字だったが、23年度にようやく171億円の黒字転換を果たし、息を吹き返しかけた。しかし、先述の通り、再び過去最大の赤字に転落する見通しだ。
24年度の業績見通しの中身を見てみると、アジア市場の販売は厳しいものの、国内の販売台数が回復し営業利益は300億円となる見込みだ。すなわち、本来のビジネス自体は回復しているものの、米国とカナダの和解金が業績を直撃した形となっている。
また、6日に発表された親会社のトヨタ自動車(日野自に50.1%出資で連結子会社)の24年4〜9月期連結決算では、営業利益が2兆4642億円で、前年同期比3.7%減、950億円の減益となった。この営業利益の減益要因の中には、日野自関連のマイナス2300億円が含まれていることも示された。
本業自体が回復しているのは不幸中の幸いかもしれないが、海外の特別損失がまだ膨らむ可能性もあり、先行きが極めて不透明なことが大きな不安要素となっている。
その中で、注目されるのがトヨタの動向だ。
そもそも、すでにトヨタは日野自の自主再建は難しいと判断して、三菱ふそうとの経営統合を進める決断をしている。