23年5月に、独ダイムラートラックと提携し、それぞれの子会社である日野自と三菱ふそうトラック・バスの経営統合を発表(ダイムラーは三菱ふそうに89.29%出資)。日野と三菱ふそうを傘下に収める持ち株会社を設立し、その持ち株会社をトヨタとダイムラーで「対等に」出資して保有するスキームだった。

 いわゆる大型4社(商用車メーカーの日野自・いすゞ自動車・三菱ふそう・UDトラックス〈旧日産ディーゼル〉)のうち、いすゞはUDトラックスを21年に買収し子会社化している。これに対し、日野自・三菱ふそうに集約・再編することで、いすゞ・UDトラックスに対抗するもくろみである。

 しかし、当初は、24年中に経営統合の完了を目指すことにしていたものの、日野自と三菱ふそうの統合による独占禁止法上の問題や日野自の海外和解費用が膨大なものとなることなどから、今春以降に、経営統合の完了が「無期限で延期」となっているのだ。

 このような状態で、本当に三菱ふそうとの経営統合を進められるのか。中間決算会見で佐藤直樹・日本事業最高執行責任者(COO)は「統合協議は前向きに進んでいる」と述べたが、これは以前に統合の無期限延期を表明した会見で小木曽聡社長と同じ発言を繰り返したものにすぎず、額面通りの実態とは限らない。統合が“破談”に終わる可能性も十分にあり、予断は許されないところだ。

 もちろん、トヨタにとって日野自の復活はトヨタグループの商用車部門の行方と同義なだけに大きな関心事だ。