「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
老いた親の認知症が心配
「今のままだと本当に認知症になっちゃうよ」。近所のスーパーから家まで帰れなくなる、ごはんを食べたのに忘れてまた食べてしまうなど、認知症と思われる症状が出てきた親への声かけです。このように認知症が進行していて、子どもたちで介護するのがむずかしいときは、なんらかの支援を受けてください。
そのまま放置していると、火を消し忘れて家を焼失してしまうなど、とんでもない事故に発展することがあります。大切な親が、ささいなミスで命を縮めないよう、看取者(かんしゅしゃ)として毅然とした態度でことを進めましょう。
介護に対して、親の拒否感が強いときは、「ドキッとする怖いうわさ話」を伝えてみるのが1つの方法です。たとえば、「2人に1人が認知症を発症する時代がくるんだって。対策しないと、自分が誰だかわからなくなるらしいよ。怖くない?」などです。
親自身が本格的な介護(いわゆるシモの世話)を受けるようになりたくないのであれば、そうなる前に予防策を講じる以外にはありません。自分が誰だかわからなくなり、食事を口元に運んでもらうような状態をなるべく避けたいのであれば、早めに動くべきだという伝え方は、とくに男性に効果を発揮しやすいです。父親などに介護の必要性を理解してもらいたいときに、この方法で伝えてみてください。
伝え方の正解は家族によって異なりますが、早めに対策をとったほうがいいのは全世帯共通です。老いた親が気になったタイミングで、迅速に対応しましょう。