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不透明な売却プロセスの慣習が
売り主の不利益につながっている

 皆さんは、不動産業界において長きにわたって慣習化していた「囲い込み」という言葉をご存じだろうか。例えば、あなたが売り主として「家を売却したい」と考え、不動産会社に仲介を依頼したとする。当然、売り主である自分に利があるように売却活動を進めてくれるはず、と思うだろう。

 ところが実際は、必ずしもそうはならない。他の不動産会社から紹介された買い主への物件紹介を「故意」に断ったり、他の不動産会社に物件情報を提供しなかったりと、「情報の独占」、つまり、物件の囲い込みが行われているのである。

 ダイレクトに紹介を断る行為はもちろんのこと、買い主側の不動産会社からの問い合わせに対して「鍵の受け渡しの時間が取れない」「内見のスケジューリングが難しい」などの一見もっともらしい理由をつけ、購入意欲をそぐような形で「囲い込み」を行う悪質な不動産会社も存在する。近年、その手法はより複雑かつ巧妙になってきている。