連れて帰ったあとなだめすかして、寝かしつけるのは誰なのか。翌朝、喪失感から抜け出せない子供たちの気持ちを切り替えさせ、学校に行くように仕向けるのは誰なのか。幸い、娘が翌朝寝込んだりするほどのことはなかったが、小学校低学年ぐらいの子供はちょっとのことで体調を崩したりする。子供が体調を崩して学校を休むと、私の仕事のスケジュールがまるでグチャグチャになる。なだめすかしながら、いつもハラハラドキドキしていた。

 会うたびに同じように辛い目に遭い、私は面会交流が必ずしも幸せを生まないことに気づいた。少なくとも私にとっては、ものすごくしんどい時間だった。

 離婚しても親子の関係は失われないし、養育費もきちんと払っているのであれば、両親ともに親権を持って教育や財産管理に関わる「共同親権」が理想的な育児のあり方だろう。離婚届を書いた時、親権者をどちらか一方に定めなければいけない決まりに、私は違和感を覚えた。

 しかし、面会交流の最後に決まって泣きじゃくった娘のことを考えるなら、別れた夫婦が共同で育児に励むというのは、現実にはそんなに生易しいものではない。