退職した社員の「ホンネ」とは?
採用も育成も、経営者が先送りをせずに取り組むべき課題なのだが、規模の小さい企業の経営者はどうしても目先の数字に追われてしまい、こうした現実と向き合うのが難しい。
結果、「もう無理だ」と匙(さじ)を投げて、会社を売りに出してしまうケースが後を絶たないのだ。
特に、現代のように変化が速く社会情勢が不安定な時代には、就活生の安定志向が強くなりがちだ。「大手に入ってしまえば、とりあえずなんとかなる」という考え方の就活生が多いのだ。
ただでさえ人が採れない中堅・中小企業は、一層、困難な状況に追い込まれていると言っていいだろう。
中堅・中小企業ながらメディアに多く取り上げられ、採用実績を伸ばしている企業を2社紹介しよう。石坂産業と伊那食品工業だ。
石坂産業は産廃事業をエネルギー産業に脱皮させるという理念への共感によって、伊那食品工業は徹底的に社員を大切にする社風への共感によって、就活生を集めている。いずれも素晴らしい取り組みだといえる。
では、現代の若者たちは、本音のところで企業に何を望んでいるのだろうか?
すでに会社の退職を選択した社員の「不満の理由」を調べてみると、彼らの本音がよく見えてくる。不満は要望の裏返しなのである。
試しに、次の問いに答えてみてほしい。
質問: 退職を選んだ社員の不満理由はどれか? それぞれの「A」の場所に当てはまると思うものを「選択肢」4つの中から選べ。
★入社3年目までに退職した社員の場合
1位 A
2位 人間関係がうまくいかない
3位 会社の文化になじめない
★入社3年を超えてから退職した社員の場合
1位 会社に将来性がない
2位 尊敬できる人がいない
3位 A
■選択肢
1.仕事内容が自分に合わない
2.企業の方針や組織体制・社風などとのミスマッチ
3.能力・実績が正当に評価されない
4.キャリア成長が望めない